「消費の謎」~2月14日は「聖バレンタインデー」だけじゃなかった~「煮干しの日」はなぜ普及しない?~
おはようございます。とーまです。
いや~昨日はサッカー日本代表がアジアカップグループリーグで、首位通過を決める勝利をおさめることができてよかったですね。
さて、今日の記事ですが著書『農業のマーケティング教科書』から抜粋した「消費の謎」について紹介していきたいと思います。
「消費の謎」はもちろんいくつかあると思いますが、ここでは「記念日消費」の謎について言及していきたいと思います。
例えば「記念日消費」とは、
10月31日は「ハロウィン」
12月25日は「クリスマス」
2月14日は「バレンタインデー」
といった、特定の日付が何かの記念日になっていることで消費を拡大させる、というマーケティング手法です。
もちろんこれらは、経済効果を狙ってつくられた記念日というわけではなく、偶発的にできて偶然市場規模が巨大化している例です。
例えば「ハロウィンの市場規模」の推移ですが、
2011年では、およそ560億円だった市場も
2015年には2倍以上の1220億円にものぼっています。
ただ一方で、消費を拡大するためにつくられた記念日もあります。
車のエンジンをかけると、「今日は◯月△日です。◇◇の日です。」という音声が流れることがありますよね。ここでいう「◇◇」が、消費拡大のための記念日です。
これら消費促進のための記念日を、「食べるもの記念日」といいます。
この「食べるもの記念日」は、「ハロウィン」や「クリスマス」のように「マーケティング」をしているのではなく「販売」をしているのです。だから、消費が伸びないのです。
2月14日を例に挙げると、この日はみなさんご存知「バレンタインデー」です。(これは食べるもの記念日ではありません)
では、同日が「煮干しの日」であることをご存知ですか?おそらく知らなかったことと思います。ちなみに「煮干しの日」は「食べるもの記念日」にあたります。
しかし、煮干しの消費促進を狙った「全国煮干協会」のこの戦略は、全くと言っていいほど上手く行っていません。
GD Freakの2013年の調査では、煮干しの1世帯あたりの年間家計消費支出額は、2000年では平均600円弱だったにもかかわらず、2013年には328円と4割減になっています。
では、なぜ「食べるもの記念日」は普及しないのでしょうか。これが、今回の記事のキーワードです。
これは簡単に言うと、 「消費者への価値の訴求」ができていないからです。
つまり
・販売 ー食べてください (自己満足)
・マーケ ー食べたいと思わせる (顧客満足)
とした場合、「食べるもの記念日」は「販売」をしてしまっているのです。
例えば、もし仮に「バレンタインデー」が「チョコの日」だったとしましょう。(まあ実際は本当にチョコの日ですがw)
これだとチョコは売れますか?煮干しの例を考えると売れませんよね。
それはなぜかというと、生産者(販売者)が消費者のパラダイムを理解できていないからです。
例えば、トマトです。
このトマトを、生産者の視点と消費者の視点の両方で見ていきましょう。
・生産者 : 美味しさ、旨さ、品質
・消費者 : チーズ、パスタ、塩
ここからわかる通り、両者のトマトを見た時の視点は全く違っています。
フィリップ・コトラーも提唱している通り、消費者の消費は「モノ消費」から「コト消費」へと変わってきています。
つまり商品の価値よりも、そこから得られるストーリー性の価値に消費者の目は興味を示しているのです。
こういった理由で、「バレンタインデー」と「煮干しの日」を比べた時、「煮干しの日」には消費者にとっての魅力がなく、ゆえに消費が拡大しないのです。
いかがでしたか。
みなさんもスーパーに行って買い物していれば気づくと思います。
先程のトマトの例同様、お酒の例で考えてみてください。
あなたは「お酒の品質」にこだわりますか?
それとも「お酒のお供(おつまみ)」にこだわりますか?
おそらく多くの人が、後者だと思います。
これを理解していなければ、商品を売ることはできません。
しかし、みなさんは今日完璧に理解することができました。
みなさんも「販売」ではなく「マーケティング」に力を入れましょう!!