企業が新入社員の採用時に営業をかけた結果
「うちはブラックだ。だけど博報堂の代理店ほどではない。」
「売り方はグレーなら問題ない」
「自分の予算達成だけを考えろ」
「勘違いさせてでも商談を組め」
これらは実際にうちの会社で飛び交った言葉だったり、共通の価値観だったりである。
営業職とはなんて汚い世界なのだ。
大学生の頃、僕はビジネスの世界が非常に汚い世界だと思っていた。しかしそこで生き残っていくためには、自分が最もやりたくない「営業職」での経験は必須になると考え、営業商社に新卒での入社を決めた。
あれから4ヶ月が経ち、僕のできることは明らかに増え、強みや弱みもより鮮明になっていった。
その一つの自己認識として、どうも僕は周りと逆の行動を取ろうとする傾向があるらしい。
みんなが元気のない時はひとりでもテンションを上げていけるし、逆に周りがうるさいと声を発しようとしない。
ただ、その割に日本人の特性である「察する力」「理解する力」「汲み取る力」がかなり高いらしく、このせいで仕事中にも潜在顧客の考えていることを先回りして考え、それに良い意味で驚かれることも悪い意味で驚かれることも多い。
そして、どうやらこの特性は日常会話レベルでも発揮しているらしく、同僚と会話している中で、その発された言葉の向こうにある思考的な部分も踏まえて言葉を返しているらしく、故に話が噛み合わないことも多い。
こういった事実に気づけたおかけで、自分に「伝える力」が足りていないということに気づけた。
そして仕事の中で訓練しているうちに、少しずつではあるが「伝える力」はついてきている。
自分の知らなかった強み、新たな弱点とその改善
新たな自分に出会えたこと、それが僕が営業をやっていたからこそ認識できたことだと思っている。
そうして、4ヶ月が経とうとしている。
そんな中で思うことは、会社のビジョンや考え方が自分のそれらとは全く噛み合っていないということだ。
会社は超実力主義で、チームプレーではなく個人プレー。同期を蹴飛ばしてでも結果を出せ、そうすればポストを用意してやる。
という考え方を持っている。
一方で僕は、個人と個人から生まれるシナジー、つまりチームプレーを重視し、そのチームを僕がマネジメントし、みんなで評価をされよう。
という考え方なのだ。
そして気づかされたこと、気づいたこと
どうやら僕らは、採用や選考の段階から営業をかけられていたらしい、と。
入社前と入社後のギャップは、数え切れないほどあった。
そのせいもあって、新卒の3割は別の地に羽ばたき、中途社員も入っては辞めてを繰り返す人材の出入りが激しい職場になっている。
ここでの未来は僕にあるのだろうか。
会社にとって人材とは、とても大切で貴重な存在であり、成長に最も必要なリソースである。
これは、小さい企業であろうが大きな企業であろうが価値は変わらないはずだ。
特にベンチャーであれば、その質や数は企業の成長を大きく左右する存在になりうる。
僕は、そんな存在になりたい。
だからこそベンチャー企業を選び、自分が最もやりたくない営業職の戸を叩いたのだ。
しかし、僕が孤島から大陸へ向かうと思って飛び乗ったこの船は、大きな島にたどり着くエネルギーなどない中で「大陸に行こう」と掲げていた船だったみたいだ。
今の仕事先の状況は、沈んでゆく船から漕ぐ人員が減っている中で、大陸を目指せと言われ船を漕いでいるのに似たような状況にある。
予算もへったくれもない。
ストックフローのビジネスをしていて、
市場が飽和したらどうなるかなんてわかるはずだ。
大学生の頃の僕だって、そんなことはわかる。
そしてこの商材から手を洗えないこの会社は、その商材の急速な需要が偶然当たって、偶然成長したベンチャー企業に過ぎないということだ。
そして何より面白くないのは、企業という組織にもかかわらず、個人プレーでしか評価しないことである。
僕は一人で仕事をするのではなく、組織にいる皆で何かを創り出し、その創り出したもので会社を大きくしていきたいのだ。
評価は、その時してくれればいい。
自然人がひとりで生きられないのと同様、法人もひとりでは生きられない。
だから様々な企業と繋がり、様々な人と繋がるのだ。
それでは、なぜひとりの力だけを上げようとする?
AIが急激に台頭するこの時代に、本当に必要な能力はなんだろうか。
営業力か?
交渉力か?
いや、ぼくはそれらすらもマネジメントするマネジメント力だと思っている。
それではもう一つ考え込んでみて、
マネジメント力をつけるのに必要な力やキャリアは何なのだろうか。
ぼくが欲しいのは、ここの考えだ。
ぼくがマネージャーに至るまでのキャリアとして、どの進み方を選ぶことが、自分の価値観にとって会社のビジョンにとって社会への貢献にとって最適になるのか。
それをひたすら考えて、仕事をしている。
そして、今回出た一つの答えが
今働いている企業でのキャリアは自分の価値観にあったものではなく、社会が目指している理想の姿でもない。
企業が新入社員の採用時に営業をかけた結果、優秀な社員が辞めようとしている。